金星の空には、灼熱の二酸化炭素の大気と
金星が明るくかがやくのは濃硫酸の雲がすき間なく金星をおおい、太陽の光の8割ぐらいをはね返しているからです。金星は地球よりずっと太陽に近いのに、地上は昼間でも地球の1割程度しか光が届かず、うす暗いのです。また金星の大気は主に二酸化炭素からなっています。

さいきん地球でも温暖化ガスの問題が注目を集めていますが、金星では何十億年も昔からこの現象が起きていました。金星の大気中の二酸化炭素は太陽の熱を効率よく閉じこめてしまうため、地表の気温はとても高くなります。平均気温は約400度、最高気温は500度。これは金星より太陽に近い水星よりも高い数字です。金星は太陽系で一番熱い惑星なのです。もし、金星に大気がなかったら、表面は太陽を向いている部分でも50度ぐらいにしかなりません。
- ベネラ13号がさつえいした大地
金星の大気のいちばん上の層では、時速400kmにも達するとても強い風がふいています。これは地球時間のたった4日で金星を一周するほどの速さです。金星の自転はとてもゆっくりですが、その速度の約60倍です。このように自転のスピードをこえてふく風のことを「スーパーローテーション」と呼び、金星以外でも土星の衛星タイタンなどで観測されています。なぜこのような現象が起きるのかはよく分かっておらず、金星最大のなぞの一つです。


もしかすると金星には昔海があったのかもしれません。そのしょうこの一つは、水が蒸発すると出てくる重水素という物質が金星の大気からたくさん見つかっていることです。また、水がある場所にできる岩石も見つかっていて、これらのことから、昔金星には海があったが、現在では干上がってしまったと考えられています。くわしくは「あかつき」の観測結果に期待しましょう。