キミにもなれる?!宇宙のお仕事ガイドブック

ロケットを開発する研究者

野中聡さんにちょくげきインタビュー

再使用ロケットが完成すると、将来どんなことができるようになるんですか?

野中さん

今は再使用ロケットを観測ロケットとして飛ばすための準備をしています。地球や宇宙のことを調べるために毎日サンプルを採ってくるとか、いろいろなことができるようになると思いますよ。
もっと将来、くり返し飛ぶことができるロケットにたくさんの人を乗せて、何度も何度も飛ぶことができるようになったら、すごくお金持ちの人じゃなくても気軽に宇宙旅行に行けるようになると思います。飛行機と同じように整備してまた明日飛ばす、ということができるようになりますから。今は飛行機とロケットは全く別のものだと見られていますが、乗る人にとってはそのような区別がなくなって「ちょっと宇宙に行って来る」くらいの感覚で安心して乗ってもらえる物が作れたらいいですよね。

仕事をしていてどんなときが楽しいですか?

野中さん

ロケットをさわっているときですね。
RVTのような実験は規模がそれほど大きくないので、実際に自分たちの手で配管を作ったり、センサーをつけたりできるんですよ。秋田県の能代というところにある実験場で、20人くらいの小さなチームで、みんなで意見を言い合いながらロケットの性能を調べたり、実際に飛ばす実験をするのもとっても楽しいですね。
(※RVTとは、再使用ロケット実験「Reusable Vehicle Testing」の略だよ!)

宇宙に行ってみたい、とは思いますか?

野中さん

もちろん行ってはみたいですが、それよりも乗物を作って、乗る人に喜んでもらえることのほうに興味があるんです。昔から宇宙飛行士になりたいと思ったことはあまりなかったかな……。最初に就職を考えたときも飛行機の整備士になりたかったですしね、パイロットではなくて。

やっぱり子どものころから飛行機や電車などの乗り物が好きだったんですか?

野中さん

今とちがって人の作ったものにはあまり興味がなくて。虫とか自然のものが好きでした。星も好きだったので中学生のときは「ハレー彗星」を望遠鏡で見たりもしましたが、部活の陸上競技に夢中で宇宙への興味はいったん小さくなってしまったんですよ。でも大学でいろいろな実験をするようになってからすごく楽しかったですね。思いもしない結果が出たりして、なんで?ってなやむのも楽しいです。このころから宇宙まで飛べる乗り物への関心がふたたび高まりました。実験は好きだったのですが、数式を使った計算はちょっと苦手でした。でもロケットの研究にはそれがとても大切だとわかると興味が出てくるものです。

早くからいまの仕事を夢見て勉強してきたわけじゃないんですね。

野中さん

大学でも最初はちがうこと(燃焼=物を燃やすことについて)を勉強していました。小さいころからずっと夢を持ち続けて勉強して、そのまま仕事にする人もいますが、ぼくの場合は研究や仕事をしながら、どんどん夢が広がっている感じです。今いっしょに研究している学生たちも、もともとロケットの知識があって入ってきているわけではありませんが、みんなそれぞれ夢があって研究を進めていくうちにどんどん興味がわいてくるのを感じます。

野中先生ありがとうございました!

プロフィール
のなか・さとし
1971年、東京都生まれ。専門は航空宇宙工学。現在は再使用ロケット実験機、再使用観測ロケット、次期固体ロケット、観測ロケットなどの研究開発や運用にたずさわっています。

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