人工衛星とロケットのギモン
人工衛星は宇宙でも重いんですか?
日本初の船外活動を行った土井隆雄 宇宙飛行士は、NASAのスコット宇宙飛行士とともに、太陽観測衛星「スパルタン」を手でつかまえて回収するというたいへんな仕事を成功させました。土井飛行士は、衛星をつかまえたときの感想を「ずいぶん力が必要だった」と話しています。でも[宇宙空間は重さがなくなるから、どんなに衛星が重くても力はいらないんじゃないか?」と思う人もいるかもしれません。
ふだん、私たちが感じている物(物体・物質)の重さ(重量)は、重力に引かれる強さを表しています。スペースシャトルが地球の周りを回っているときは、地球の重力とスペースシャトルが地球を回る遠心力がつり合って、重力がないような状態(無重力状態)になります。しかし、物質にはもともとの質量があります。質量は重力に関係しないもので、ある物質に力を加えた場合にその物質が抵抗 する力(動かしにくさ)と考えることができます。
ですから、宇宙で無重力状態になって重力がなくなっても、質量があり、質量が大きなものほど動かすために力が必要となるわけです。土井宇宙飛行士がつかまえた衛星の質量は約2トン。土井宇宙飛行士も、スコット宇宙飛行士も、この質量がぐっと手に伝わってきて「けっこう重いな」と感じたそうです。