人工衛星とロケットのギモン
世界でのデブリ処分に関する活動を教えてください。
高度36000kmの静止軌道 と、高度2000km以下くらいの低軌道に分けて説明したいと思います。
静止軌道では、人工衛星を使い終わった後はなるべく、静止軌道より300kmくらい軌道の高度の高いところに自分で移動するように、世界的な取り決めで決められています。
静止軌道より高い軌道というのは、人工衛星が使わない軌道ですし、まだあまりデブリがないからです。
低軌道では、なるべく地球に落とすようにしなくてはいけません。
ところが、地球に落とすのにはたくさんの燃料が必要になってしまい難しいので、今のところ特に何もしない人工衛星がほとんどです。
ということで、低軌道では、まだほとんどデブリ処理は行っていません。
ただし、低軌道でも静止軌道でも、なるべくデブリを出さないようにすること(今まではカメラのレンズキャップを宇宙で捨てていたのを、ひもを付けておいて捨てないようにする、など)、爆発 しないように余った燃料を捨てること、などデブリを出さないようにするための努力は行っています。
このままでは、デブリがたくさん増えすぎて、宇宙が危なくて使えないということにならないように、低軌道にあるデブリをつかまえて取り除く人工衛星がデブリ除去システムです。JAXAでは現在、将来デブリ除去システムを作るための研究をしています。
他にもヨーロッパやアメリカなどでそのような研究をしているところがあります。
アメリカでは、人工衛星を使い終わったあと、自動的に地球に落とすためのテザー(ひものこと、JAXAが開発したひもと同じ原理です)を研究しています。
ドイツでは、静止軌道でデブリをつかまえて移動するロボットの研究をしています。
フランスでも、低軌道でロケット上段をつかまえて移動させるという研究をしています。
デブリ問題について世界では、国際機関間宇宙デブリ調整会議(IADC、NASA(アメリカ)やESA(ヨーロッパ)、日本、中国など宇宙開発をしている国が参加しています)や国連の活動の中で、デブリについての相談や情報こうかんをしています。