若田光一宇宙飛行士が、スペースシャトルの中でキャッチボールをして見せてくれました。

すると、まっすぐ投げているのに、ボールは上の方に行ってしまいました。地球では、ボールに重力がかかって少し下に落ちます。わたしたちは、落ちる分を無意識に計算して上の方に投げているのです。しかし、スペースシャトルの中は重力がとても小さいため、地上と同じように投げると上の方へ行ってしまうのです。

では、スペースシャトルの外でボールを投げたらどうなるでしょうか。

スペースシャトルは地球のまわりを回る人工衛星です。いっしょに動いている宇宙飛行士も、持っているボールも、同じ速度で飛んでいます。スペースシャトルの外で進行方向にボールを投げると、スペースシャトルよりも遠くを回る小さな人工衛星になります。

投げることによってボールの速度はスペースシャトルよりも速くなるので、遠いところを回るようになるのです。もっと速く投げれば、軌道（きどう）はどんどん遠ざかり、ついには地球の重力をふり切って宇宙のはるかかなたに飛んでいきます。