キミにもなれる?!宇宙のお仕事ガイドブック

生き物のことを調べる研究者

黒谷明美さんにちょくげきインタビュー

黒谷さんは宇宙でのカエルの実験に参加したことがあるんですよね。

黒谷さん

はい。1990年、宇宙ステーション・ミールで秋山豊寛さんが行った実験です。内容を考えて、準備をしました。道具もかなり自分たちで揃えたんですよ。無重力で水を使うには“ハミガキのチューブ”がいいことに気づいて、片手で開けられて、しかもフタが飛んでいかないチューブを探したり。
宇宙では、無重力状態でアマガエルがどうなるかを調べました。おなかをふくらませていたのは興奮しているということ。手足を大きく広げた状態だったのは、「落っこちている」と勘違いしたカエルが、着地に一番適した姿勢をとったのではないか?と考えられているんですよ。
カエルを宇宙に連れて行く前の段階でもたくさん発見があって。フンをなるべくさせたくないのでどれくらいの期間食べなくても大丈夫なのかを前もって調べたり、地上で研究していただけでは気づかなかったことがわかりました。宇宙で実験をすることで、もっと生き物を深く知ることができたんです。

いまはどんな研究をしているんですか?

黒谷さん

宇宙での実験のあと、今度は地球でイモリの卵(らん)を使い、「生きものが育っていくのに重力がどう影響しているのか」を調べる実験をしました。いまはさらによく調べるために、ウニを使って実験しています。

なぜウニを使うんですか?

黒谷さん

ウニの幼生(子ども)の中にある骨を作る細胞は、それだけを取り出して育てることができるので実験にぴったりなんですよ。イモリにはそういう細胞はないんです。

子どものころはどんなことをしていましたか?

黒谷さん

虫や小さな生き物が大好きで、よくダンゴムシをまるめたりしていました。生き物の形ってきれいでしょう。こういう形になるのはどうしてだろう?という気持ちを持ち続けてきました。そのうちに、形を作るのには重力が関係しているんじゃないか、と思うようになって。だから私にとって宇宙は、大好きな生き物のことを知るためにとてもいい場所なんです。
最近子どもたちに研究の話をすると「何の役に立つんですか?」と聞かれることが多いのですが、研究というのは「ただ知りたい」という気持ちから来ているものだと思うんです。芸術と似たところがあるかもしれませんね。何か好きなこと、知りたいことがあって研究していったら、それが何十年か後に何かの役にたつ……そういうことなのではないでしょうか。

好きなものを見つけることがたいせつなんですね。

斎藤さん

そうですね。まだ好きなものが見つからない人はいろいろな経験をしてほしい。大人になってから「実はこっちが好きだったんだ」って気づいて変えてもいいんですよ。そのときそのときで一番と思えるものを持っていることが大事だと思います。

黒谷先生、ありがとうございました!

プロフィール
くろたに・あけみ
1958年生まれ。地球の生物にとって重力がどのように働いているかを調べています。

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